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昔の未来、いまの答え。#01 空飛ぶクルマ

公開日 2026年10月9日最終更新日 2026年10月9日

イラスト: 昔の未来、いまの答え。#01 空飛ぶクルマ
予測者ヘンリー・フォード、カーン&ウィーナー、Uber、日本の官民協議会ほか
予測された年1940〜2018年
予測の対象空を飛ぶ乗り物の実用化
いまから見た総括まだ途中
当時の背景空を飛ぶ乗り物は、何十年も前から未来の姿として語られてきた。2026年10月の時点では、試験飛行の段階にある。

当時の予想

空を飛ぶ乗り物は、20世紀の初めから、何度も「もうすぐ」と語られてきた。ここでは、出典を確認できた5つの予想を取り上げる。

1940年には、ヘンリー・フォードが「飛行機と自動車を組み合わせたものが来る」と述べたと、Wikipediaに記載されている(原典は確認できていない)。1967年のカーンとウィーナーの『The Year 2000』は、2000年までに起こりうる技術革新の一覧に、個人用の飛行プラットフォームや、新型の垂直離着陸機を入れた。

誰が予想したのか

フォードの先進デザイン部門(1950年代後半、ダクトファン式の模型「Volante Tri-Athodyne」を公開)、未来学者のカーンとウィーナー(1967年)、米国のUber(2016年の「Uber Elevate」)、日本の経済産業省・国土交通省による「空の移動革命に向けた官民協議会」(2018年)。

いつ予想されたのか

Uber Elevateは、2016年10月27日に白書を出し、2020年にダラス・フォートワースとドバイで初のデモ飛行を行い、2023年までに運用を始める目標を掲げた。日本の官民協議会は、2018年12月20日のロードマップで、2023年に事業を始め、2030年代から拡大する目標を示した。

当時の社会背景

2010年代後半は、電動化とドローンの技術が進み、小型の電動垂直離着陸機(eVTOL)が現実味を帯びた時期だった。都市の渋滞を、空に逃がすという発想が広がった。

なぜその未来が予想されたのか

道路が混むほど、空を使う発想は魅力的に見える。電動のモーターは、ヘリコプターより構造が単純で、静かにできるとも期待された。

実際にはどうなったのか

  • 日本: 2026年4月15日に、SkyDriveが航空機設計検査認定事業場(ADO)の認定を、国内の開発企業として初めて取得した。ただし、同じ記事は、型式証明は未取得で、実用化は2028年以降を目指すとしている。
  • 日本: Jobyの日本での型式証明も、未取得と報じられている(2026年9月10日付)。政府の工程表は、2027年に有償の旅客運航を目指している。
  • 2025年大阪・関西万博: 来場者を乗せる商用運航は、型式証明などが間に合わず、全陣営が断念して、デモ飛行に切り替えた(丸紅・SkyDriveは2024年6月まで、ANA・JAL陣営は同年9月まで)。
  • Jobyの機体(ANA)は、2025年9月30日から10月13日の間の12日で、計24回飛んだ。総飛行時間は約4時間で、乗っていたのはパイロット1人だけだった。
  • 2025年4月26日には、丸紅が運航する機体が飛行中に部品を落とし、万博協会が4月27日に運航の中止を発表した。
  • 米国: Jobyは、2026年9月10日から、ホワイトハウス主導の試験の枠組み(eIPP)で、テキサスでの飛行を始めた。自社は、FAAの型式証明の第5段階(最終段階)にあると説明している。型式証明の交付は、確認できていない。

的中した部分

「空を飛ぶ電動の乗り物が、実際に飛ぶ」という点は、実現した。電動の機体は、万博で公開の飛行を行い、米国でも試験が始まっている。

外れた部分

年次は、大きく外れた。Uberの「2020年デモ、2023年運用」も、日本のロードマップの「2023年に事業開始」も、実現していない。2026年10月の時点で、旅客を乗せる商用運航は確認できず、目標は2027〜2028年に後ろへずれている。

想定されていなかった未来

最大の壁になったのは、機体の性能ではなく、型式証明という安全の認証だった。万博で商用運航が断念された理由も、これである。

また、実現しつつあるのは、道路を走って飛ぶ「空飛ぶ自動車」ではなく、電動のヘリコプターに近い「エアタクシー」である。

なぜ違いが生まれたのか

新しい種類の航空機の安全性を示すには、長い試験と審査が必要になる。技術の見通しより、認証にかかる時間のほうが長かった。

そこから次の未来を考える

では、次はどうなる? 空飛ぶクルマで、お客さんを乗せた商用運航が、いつ始まるのか。目標とされる2027〜2028年に間に合うかが、次の焦点になる。

この記事で確かめた予測

予測内容予測者予測年対象年結果
自動車と飛行機を組み合わせたものが来る
Wikipediaによる記載。原典は未確認。形は「空飛ぶ自動車」ではなく、電動のエアタクシーに近い
ヘンリー・フォード1940(年の指定なし)一部的中
個人用の飛行プラットフォーム、新型の垂直離着陸機が実用化される可能性
「起こりうる革新の一覧」であり、確定した予言ではない。2000年時点では普及していない
カーン&ウィーナー『The Year 2000』19672000外れ
2020年にデモ飛行、2023年までに運用開始
2026年10月の時点で、旅客の商用運航は確認できない
Uber Elevate20162023外れ
2023年に事業開始、2030年代から拡大
政府の工程表は、現在は2027年の有償旅客運航を目指している
空の移動革命に向けた官民協議会(経産省・国交省)20182023外れ
4人乗りの空陸両用機を2015年までに実現
2013年に中止(Wikipediaによる)
DARPA「Transformer」計画20092015外れ

出典・資料

  1. Flying car(Wikipedia)
  2. The Year 2000(転記ページ)(Herman Kahn, Anthony J. Wiener、1967年)
  3. Uber Elevate(evtol.news、2016年)
  4. 空の移動革命に向けた官民協議会のロードマップ(報道)(トラベルボイス、2018年)
  5. SkyDrive、ADO認定を取得(ドローンジャーナル、2026年)
  6. Japan air taxi 2027 and imported eVTOL(Low Altitude Economy、2026年)
  7. 万博での空飛ぶクルマ、商用運航を断念(報道)(自動運転ラボ、2024年)
  8. 万博でのJoby機のデモ飛行(ドローンジャーナル、2025年)
  9. 万博の空飛ぶクルマ 運航中止(報道)(日本経済新聞、2025年)
  10. Joby launches eIPP flights in Texas(Joby Aviation、2026年)

では、次の未来は?

では次は? 空飛ぶクルマの商用運航は、いつ始まるのか。

過去の予測は、公開されている資料に基づいて紹介しています。出典は「出典・情報源について」の方針に従って示しています。

1960年代の未来予想