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昔の未来、いまの答え。#02 テレビ電話

公開日 2026年10月9日最終更新日 2026年10月9日

イラスト: 昔の未来、いまの答え。#02 テレビ電話
予測者AT&T、アイザック・アシモフ、カーン&ウィーナーほか
予測された年1960年代〜1970年
予測の対象映像つきの通話の普及
いまから見た総括大半が実現
当時の背景テレビ電話は、1960年代から未来の通信として描かれてきた。専用の電話機としては失敗し、スマートフォンとアプリの形で日常になった。

当時の予想

AT&Tは1960年代から、「ピクチャーフォン」を、オフィスの全デスクに入り、対面の会議の多くを置き換え、在宅勤務も可能にする機械と見込んだ。

数字の予測も残っている。1969年の年報は、100万台が使われれば、1980年までに10億ドル規模の事業になりうると述べた。1970年の年報は、1975年までに25都市で5万台を見込み、同じ年のプレスリリースは、1980年までに100万台としている(ETHWによる)。

作家のアイザック・アシモフは、1964年に、2014年の通話は音と映像になると書いた(原文は未確認で、二次資料による)。カーンとウィーナーは、1967年の『The Year 2000』で、2000年までに、電話とテレビを使った有線の映像通信が、家庭や仕事場で実用化する可能性を挙げた。

誰が予想したのか

AT&T(米国の電話会社)、SF作家のアイザック・アシモフ、未来学者のカーンとウィーナー。

いつ予想されたのか

AT&Tの公開は1964年4月20日(ニューヨーク万博とディズニーランドの間の、大陸横断のビデオ通話)。数字の予測は、1969〜1970年に出された。

当時の社会背景

1960年代は、電話が各家庭に行き渡り、次は「顔が見える電話」だと考えるのが自然な時代だった。テレビの普及も、映像を送る発想を後押しした。

なぜその未来が予想されたのか

電話に映像が付けば、会議や出張を減らせ、遠く離れた家族とも顔を見て話せる。その便利さが、直感的に分かりやすかった。

実際にはどうなったのか

  • AT&T: 1964年に、ニューヨーク、ワシントン、シカゴに公衆のブースを置いた。3分の通話は16ドルから27ドルで、最初の6か月の利用は71回だけだった(ETHWなどによる)。
  • AT&T: 1970年7月1日に、ピッツバーグで商用の「Mod II」を開始した。月額は160ドルで、30分まで込みだった。契約数は、ピッツバーグで1972年に最大32台、シカゴで1973年初めに最大453台にとどまり、1973年にサービスは終了した。
  • 日本: 1970年の大阪万博で、電電公社が東京と大阪を結ぶテレビ電話を出展した。1972年度から限られた範囲で試行サービスを始めたが、1979年版の通信白書は、費用と効用のバランスから普及に至っていないと述べた。1987年には、ソニーが静止画のテレビ電話「みえてる」(4万9,800円)を発売した。
  • 現在: 総務省の2025年調査(8月末)では、スマートフォンの世帯保有率は91.8%。企業のテレワーク導入率は50.1%で、前の年は47.3%だった。

的中した部分

「通話に映像がつく」こと、「ビデオ会議」「在宅勤務」が日常になることは、実現した。アシモフやカーンとウィーナーの方向性は、当たっている。

外れた部分

専用の端末と専用の回線を電話会社が提供し、家庭や職場の机に置かれるという形は外れた。AT&Tの数字(1975年に5万台、1980年に100万台)とも、桁が違った。

想定されていなかった未来

普及の鍵になったのは、スマートフォンと、無料で使えるアプリだった。通話の途中で、カメラを切ったり入れたりできることが、ピクチャーフォンの「いつも見られている」という負担を解消した(IEEE Spectrumの見方)。

2020年のパンデミックで、ビデオ会議は一気に日常になった。

なぜ違いが生まれたのか

ピクチャーフォンは、相手も持っていなければ使えない(ネットワーク効果)うえに、高価で、映ることへの抵抗もあった。スマートフォンは、すでに持っている端末で使えたため、この壁を越えた。

そこから次の未来を考える

では、次はどうなる? 顔が見える通信が当たり前になった先で、人と人の「対面」は、どう変わるのか。

この記事で確かめた予測

予測内容予測者予測年対象年結果
ピクチャーフォンが対面会議の多くを置き換え、在宅勤務も可能にする
機能は実現。形(専用の電話機)は実現せず
AT&T1960年代(年の指定なし)一部的中
1975年までに25都市で5万台
ETHWによる。実際の契約は、最大でもシカゴの453台
AT&T(1970年報)19701975外れ
1980年までに100万台
ETHWによる。1973年にサービス終了
AT&T(1970年のプレスリリース)19701980外れ
通話が音と映像になり、相手の姿が見える
原文は未確認。Scientific Americanは的中と評価
アイザック・アシモフ19642014的中
電話とテレビを使った有線の映像通信が、家庭・仕事場で実用化
2000年時点ではまだ広く普及していないが、その後に実現
カーン&ウィーナー『The Year 2000』19672000一部的中

出典・資料

  1. Picturephone(ETHW(IEEE History Center))
  2. A Prehistory of Zoom(JSTOR Daily)
  3. Long before FaceTime or Skype, there was the Picturephone(IEEE Spectrum)
  4. Picturephone(Wikipedia)
  5. Asimov's Predictions from 1964: A Brief Report Card(Scientific American、2014年)
  6. The Year 2000(転記ページ)(Herman Kahn, Anthony J. Wiener、1967年)
  7. 昭和49年版 通信白書(テレビ電話の試行)(総務省、1974年)
  8. 昭和54年版 通信白書(総務省、1979年)
  9. テレビ電話(Wikipedia(日本語))
  10. 令和7年 通信利用動向調査の結果(総務省、2026年)

では、次の未来は?

では次は? 顔が見える通信が当たり前になった先で、人と人の対面は、どう変わるのか。

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過去の予測は、公開されている資料に基づいて紹介しています。出典は「出典・情報源について」の方針に従って示しています。

1960年代の未来予想